オリンピックも2年後♪外国人からの日本についての質問、こんな時どう答える?

外国人からの日本についての質問、こんな時どう答える?

2020年7月末から日本人の誰もが待ちわびる東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。

国内外から非常に多くの人が東京を目指してやってくることでしょう。
そして、海外からオリンピック・パラリンピックを観戦しに来る人たちは、めったにないこの機会にきっと日本の名所旧跡を観光していくでしょう。

そんな時に活躍するのが語学ボランティアです。
何かの形でオリンピック・パラリンピックに関わりたいと思っている日本人も多いと聞きます。

日本の素晴らしい名所旧跡、そして誇れる文化を体験して帰ってもらうために是非一役買いたいと思っている人もたくさんいるでしょう。

しかしその反面、海外から来日する人たちが知りたいことはなんだろうかとか、日常当たり前にやっていることや当たり前に使っているものを英語で説明することは意外と難しそうだと不安に思っている人もいるでしょう。

そんな不安を払拭するために、実際に海外から来日した人たちが抱いた疑問の数々とその答え方、また話して喜ばれたことについて通訳案内士の体験談を元にここで紹介したいと思います。

こんな質問がありました。どのように答えますか?

神道と仏教の違いは何?

私たち日本人にとって神道の神を祀る神社も仏像を安置する寺院も比較的身近です。

新年を迎えると神社にも寺院にも初詣に出かけます。

春になると桜で有名な神社は人でいっぱいです。

秋の紅葉シーズンになると寺院のきれいな庭へ紅葉狩りに出かけます。

でも、何が違うのかと質問されると意外と答えるのは難しいものです。
まずこの質問に対する答えで大事なことは、神道は日本に発生した固有の宗教で創始者も経典もなく、山や木などの自然のものを祀って信仰するもの。
一方仏教はインドで興った仏陀の説いた教えで、それが中国、韓国を経由して6世紀ごろ日本に入ってきたものだということです。

日本人は日本固有の神道と外国から入ってきた仏教を融合して暮らしているということをここで付け加えると次のような質問をされるかもしれません。

日本人は主にどの宗教を信仰しているの?

世界の国々と同じように、日本にもキリスト教徒やイスラム教徒がいます。
そして、その他の人たちは色々な宗教を受け入れているのです。

ですから神道を信じているという人と仏教を信じているという人は同じくらいの人数で、面白いことにそれらの数を足すと日本の人口の倍ほどにもなるというデータがあります。

また一つの家庭の中に神道の神を祀る神棚と先祖を祀る仏壇が同居しているというケースも多々あることを付け加えると、日本人の宗教に対する寛容さを理解してもらえます。

日本では靴を脱がなければならないところが多いのはなぜ?

観光中でも城や寺院など靴を脱がなければならない場所がたくさんあります。
私たちにとってはそれほど面倒なことでもないのですが、やはり西洋の人にとっては違和感があるようです。

日本の各家庭の玄関と家の中とは高さが違い、必ず玄関で靴を脱がなければならいことを伝え、日本では靴を脱ぐことは習慣なのだということを分かってもらわなければなりません。

元々、日本の一般家庭では和室で食事をし、食事が済むと片づけてそこに布団を敷いて寝るというのが普通でした。
ですから外の泥を家の中に持ち込むということに抵抗があり、外と中を分けるために靴を脱ぐという習慣になったのです。

観光中、芸者や舞妓の姿を見て、芸者や舞妓は何をする人なの?芸者と舞妓は何が違うの?

芸者や舞妓はお茶屋と呼ばれる特殊な飲食店で舞や三味線など芸事を披露してお客をもてなす人です。

舞妓はいわば芸者になる前の見習いの若い女性です。
彼女たちは置屋といわれるところで生活しながら芸者になるために学校にも通います。
芸者として一人前になるまでに5年くらいかかると言われています。

芸者と舞妓の違いは一目で分かります。
舞妓の着物の衿は赤、帯はだらりの帯と言って後ろに長く垂れるようにした結び方、そして履物は「おこぼ」と呼ばれる高さ10cmくらいの下駄です。

一方芸者の着物の衿は白、帯の結び方は太鼓結びと言われる普通の結び方、履物は普通の下駄です。

また舞妓は自分の髪の毛を結いますが、芸者は鬘です。

このようなことを説明すると、違いを確かめながら興味を持って釘付けになります。
でも、今は舞妓のコスチュームを着せてくれるお店もあるので、本物の舞妓と思っていたら実は観光客だったということも多々あります。

道を歩いているとき、また寺院においても赤い「よだれかけ」をした地蔵をよく見かけます。なぜ「よだれかけ」をしているの?地蔵って何?

地蔵は元来、亡くなった小さな子供たちを無事にあの世へ送るための守護神であると言われてきました。
無事にあの世に着きますようにという大人たちの願いから「よだれかけ」をしているそうです。
また、地蔵は旅行者の守護神でもあり、道端に立って旅行者の安全を見守っているという説もあります。

日本に来れば着物を着ている女性にもっと出会えると思っていた。なぜ着ないの?どのようなときに着物を着るの?

日本人女性が全員着物を着ていると思って来日する人はほとんどいないと思いますが、それでももう少し着物を着ている女性を見られるだろうと期待してくる人はいます。

普段着として着ない理由として、着るのが難しいから、着物を着て動くのは大変だから、着物は値段が高いからと説明すると納得してくれます。

そして、私たちが着物を着るのは新年、成人式、卒業式、結婚式などでしょうか。
ここで成人式について、20歳に達した若者を社会が祝い、また成人した若者が一成人として社会の中で責任を持って行動することを自覚する日という説明が必要です。

電車に乗ろうと駅のホームで待っているとき、また電車の中でアナウンスを聞いたときのこと。何を言っているの?

日本ではどこに行っても駅のホームや電車の中で電車が到着するアナウンスや次の駅の案内、また乗り換え案内などが聞こえてきます。
海外ではこういう案内はほとんどないのが現状で、何を言っているのか気になるようです。
アナウンスを訳してあげると、「なんて親切なこと!」と感嘆の声が聞こえてきます。

身近にあるこんな品物。英語でどういう風に言えばいいのでしょう?

オリンピック・パラリンピック開催期間は夏なので、こんな物が目に入ってくるでしょう。
決まった言い方がない日本固有のものは説明するしか方法がありません。

(1) 浴衣
綿製の軽い着物で、お風呂上りにパジャマの代わりに使用したり、また夏祭りや花火大会などにも着て出かけることがあります。

(2) 風鈴
陶器やガラスでできた鈴のようなもので、軒下などに吊るしておくと風を受けて鳴るので、涼しく聞こえます。

(3) うちわ 
木やプラスチックの取っ手のある、細い竹をベースとしてその上に紙を貼ったもので、使用者自らがあおいで風を起こす道具。

(4) 扇子
うちわから発展したもので、折り畳み式で鞄に入れるのに便利です。

(5) すだれ
夏に室外に置いたり、掛けたりする竹で作った日よけ。

(6) 花火、迎え火、送り火
特に花火は宗教的なことと結びつきにくい印象ですが、これらは全て死者の霊を供養するためのものです。

まとめ

私たち日本人が日ごろ習慣として普通にやっていることが海外の人からみるととても珍しいことであったり、また日常使用しているものが実は世界では珍しいもので、英語にピタリとした訳がないということがあったり、意外とこれらを伝えるのは難しいことです。

しかし、海外から来る人たちの一般的な疑問をちょっと念頭においておくこと、そして日本独特のものであれば使い方などを説明できるようにしておけばあまり困ることはないと思います。

難しい英語を使うのではなく、伝えるということに重点を置き、知っている単語や簡単な言い回しを使って上手に日本の良さを知ってもらうことが大切です。
何より「素晴らしい思い出」というお土産を持って帰国してもらうために。