「It's important that she study English.」なぜsがつかないの?

「It's important that she study English.」なぜsがつかないの?

仕事で英語が急に必要になり、猛勉強をしていた生徒さまから深刻なお顔で「先生!テキストに誤りがあります!」と 見せられたのはこの英文でした。

“It’s important that she study English.”

さて どこが誤り(と思われた)でしょう?その方が注目したのは、that節 she の後のstudy!「3人称単数のsがついていません!」と。他のテキストや会話文では、このような場合 studiesとなっているのもあり、studyはミスプリントだと思われたそうです。

ですが、これはミスプリントではありません。この形でOKなのです。この記事では、「意見を言う・主張する・物事の必要性を述べる・要求をする・アドバイスをする」などで使う構文のご紹介をします。

文の形:“It’s ~ that 人 (should) 動詞”

まず上記の文はどんな状況で使えるのかを見てみます。例えば

将来、通訳になりたい高校生のマリコ。三者面談で 担任の先生は 親御さんに言います。

“It’s important that she study English.”
「彼女が英語を勉強するのは 大切(なこと)です」

担任の先生は、自分の「意見」を言っている、またはマリコに必要なことをアドバイスしている、とも言えます。

ルール:It’s の後に置くのは「提案・要求・必要性などを表す言葉」(形容詞)

例えば、

necessary 必要な
advisable的を得た 望ましい
right 正しい 
essential 不可欠な
vital 極めて重要な 
mandatory 義務的な 
crucial 決定的な

などです。
次にthat節を見てみましょう。最初に触れた生徒さまの疑問点はここでした。she(三人称単数) の後の動詞の現在形に、sが付いていません。

これは、本来のthat以降は「she should study」で、元々あったshould が省略された形となっているからです。

直訳は、「彼女が英語を勉強すべきだということは、大切なことです」

文は「すべき」という意味は含んだまま should のスペルを省略しています。このshouldの省略は、アメリカ英語の特徴です。イギリス英語ではshouldの省略はせず、例えば、It’s important that she should study English. と言います。または、口語ではshouldを考慮に入れず、that節以降は直接法で、she studies English になることもあります。

生徒さまの不安は この構文におけるアメリカ英語とイギリス英語の違いの把握で解消されました!

ここまでをまとめますと この構文は

(1) It’sの後は 「提案・要求・必要性などを表す言葉」が来る

(2) that以降は、考え方として、「人」の後に「すべき」というshouldがある
(アメリカ英語ではshouldの省略が通常であるが、イギリス英語ではshouldを省略しないか、直接法になる) 

  
いかがでしょう。これは It’s important for her to study English.(It’s 〜for 人to動詞 )の強調版といってもいいでしょう。

会話文で事例をご紹介

ルールがわかったところで、会話文で具体的に落とし込みましょう。

会社員トムは上司を信頼できず指示をされても 腰が重く仕事がはかどりません。 同僚Bは 「君は上司を信頼する必要があるよ」と アドバイスします。

A:I don’t want to work with him anymore. He’s always….

B:Oh,come on. Stop nagging like that. It’s necessary that you(should) trust your boss.

上記でBは トムに面と向かってアドバイスしたのでyouとなっていますが、

「彼が上司を信頼することは 必然(必要なこと)だ」とすると“It’s necessary that he (should) trust his boss.”になります。

穴埋め問題にチャレンジ!

最後に、以下の穴埋めにチャレンジしてみましょう。(今回はアメリカ英語で解答します)

1. 「我会社が 顧客サービスに着目することは 必要不可欠です」

It’s ( 1 )that our company (  2 )on customer service.

答え: 1. vital 2. focus

2. 日本語がもっとぺらぺらになりたい!と切望しているマイクへ「先ずは 彼が好きなDVDを鑑賞することをお勧めします」

First of all,it’s ( 3 ) that he ( 4 ) his favorite DVDs.

答え:3. advisable 4. watch

提案・要求・必要性などを表す文章のルール まとめ

It’sで~始まる構文は 一文でスッキリまとまり便利です。そのうちの1つ、「提案 要求 必要性」などを主張したり意見を言ったりする「It’s ~that構文」のルールを取り上げました。ビジネス・プレゼン・要求す・アドバイスをするときなどに知っておくと便利なルールです。