目次
「Don’t work too hard!(働きすぎないで)」
「Relax, mate! (リラックスして)」
日本人に対して外国籍の方特にヨーロッパ・英語圏の方がよくいう言葉です。
アジア人特に日本人は勤勉だと言われます。
時には心配して、時には皮肉を込めて、また時にはネタとして冗談交じりに。
そして日本で外国籍相手に仕事をしている日本人がよく頭を悩ますのが
「外国籍は仕事のつめが甘い」
「どうも報連相ができていないから協調性がない」
「時間にルーズ」
ということ。
東洋人(日本人)は勤勉で西洋人は怠惰なのか?
西洋人は人生楽しめていて東洋人(日本人)は真面目すぎるのか?
海外生活やインターナショナルな職場で必ずぶつかる仕事や家事を「片付ける=get it done」にまつわる違いについていくつかご紹介します。
「片付ける=get it done」の違いその1:見ているところが違う
心理学の研究で面白いものがあります。
同じ絵や写真を東洋人と西洋人に見せた後で、その絵・写真について説明してもらうというものです。
そこでわかったことは、東洋人は全体像を、西洋人は細部を見るということなのだそう。
別の言い方をすれば、東洋人は「雰囲気」を、西洋人は「事実」を重視するようです。
冒頭の「外国籍は仕事のつめが甘い」というのは、この東洋人の全体像・雰囲気重視の視点から見るからそう見えるという可能性が高いです。
日本について言えば、仕事というのは「体裁を整えて顧客に見せられる状態にするまで」だと思っている方が多いのではないでしょうか。
業種によっても違うと思いますが、上司に報告する際、ノートのラフな下書きを見せるのではなく、おそらくプレゼンできるようにパワーポイントで、または報告書としてあげる。
それを何度も繰り返して完成に近づける…というのが一般的。
だからこそ、外国籍スタッフに仕事の進捗を訪ねた時に、半分はタイプしてある資料と半分は手書きのノートを見せられた日本人上司は「なんだ、つめが甘いな」「まだ完成には程遠いな」と心配になります。
しかし、先ほどの細部・事実を重視する西洋人の視点からすると、体裁など必要であれば最後に整えればいいだけの話で、大切なのは中身。
たとえメモ書きのように見えたとしても、そのアイデアが素晴らしければそれはプロの仕事なのです。
そしてコンテンツに独創性と信憑性を持たせるために、上司に相談する前に色々な方面へアンテナを張り巡らせて情報収集をし、アイデアをひねり出すことに集中します。
ですから、逆に海外勤務している日本人を部下にもつ上司は今までも見たような内容の報告を、立派な報告書で何度もしてくる日本人部下を見て、「もしかしてアイデアが浮かんでいないのか?」「何がしたいんだ?」と心配になります。
どちらも、その人なりの「プロとしての仕事」はしているものの見ているところが違うために、すれ違ってしまいます。
外国籍と仕事をする方、または海外生活をされている方にオススメなのは、まず仕事に取り掛かる前に「私はここを見ていて、だからこのポイントを重要視している」ということをお互いに確認し合うことです。
「片付ける=get it done」の違いその2:目的が違う
二番目の違いは、目的意識の違いです。
何のために、仕事や家事をするのか、終わらせるのか…
東洋人と西洋人ではここにも大きな違いがあります。
先ほどの視点の違いでもお伝えした通り、東洋人は全体像・雰囲気を、西洋人は細部・事実を見ると言われています。
ですので、東洋人、特に日本人の仕事や家事をする目的は「仲間意識の確認のため」ということが多いようです。
例えば、学生時代を思い出して見てください。
掃除の時間、目的はどちらかというと「本気で学校を綺麗にする」ことよりも「みんなで掃除してみんなで終わらせる」ことだったのではないでしょうか?
「ちょっと!男子掃除して!!」というセリフは、日本人なら誰もが聞いたことのあるものではないでしょうか?
西洋人はと言えば「自己実現・結果を出すため」という方が多数派です。
個人の能力に違いがあることが当然なので、各分野に長けている人がそれぞれその分野を担当すれば良いという考え方です。
海外のスクールドラマにはみんなで掃除する時間なんて一ミリも映っていません。
学校の掃除はプロの掃除職員の仕事。
この違いがあるために、ディスカッションや会議などでは気をつけないと誤解が生まれる場合があります。
東洋人の会議は、結果を出すよりもみんなでその場にいて一緒に解決していくことを目的とする場合が多いので、誰もが知っている大枠の内容説明や報告が多いのではないでしょうか。
もちろん、時代が変わり「会議は無意味」とする先進的な企業やビジネスマンも増えてきているようですがそれでもまだ多くの日本人は長い会議に疑問を持たずにとりあえず参加していることもあるのでは?
しかし、西洋人の会議であれば、会議前に各自がアイデアを用意しておき、会議でプレゼンし合ってベストを競い合う、または同僚のアイデアに影響を受けて新しいものを生み出すことが多いのではないでしょうか。
「お手柄」と褒められることも悪いことではないですし、アイデアマンは喜ばれることが多いようです。
この場合も、もしみなさんがお仕事や生活の場で異文化の違いを乗り越えなければいけないとすれば、目的の違いを踏まえた上で相手に対する言葉を変えていくことをお勧めします。
「片付ける=get it done」の違いその3:情報に対する扱いの違い
3つ目は、情報量とその意味に対する理解の違いです。
これは前述の2つのポイントが関係しています。
東洋人、特に日本人は、全体・雰囲気を見て、仲間意識を大切にするために動くので相手を気遣い傷つけないように尊重しながら情報を提供します。
ですので、「一を聞いて十を知る」ことが必須条件です。
事実かどうかではなく、相手がどこまでを期待しているのかを読み取ります。
しかし西洋人の特徴は、細部・事実を見て、自己実現のため結果を出すために動くので「十を聞いたら自分なりの十を追加して二十にする」または、「十を聞いて二をかける案を出して二十にする」ことが多いようです。
相手がどう感じるかということよりも、それは事実か、効果的なのかということに集中します。
ですので、日本人の中で働く外国籍は「言わなきゃわからないよ」と訴え、外国籍と働く日本人は「なんでここまで言わなきゃわからないんだ」と嘆くのです。
「片付ける=get it done」ビジネス場面で気をつけたい西洋人と東洋人の意識の違い まとめ
もちろん個人差はあるので、ここでお伝えした内容は一般的に見ての違いです。
ただ、東洋人は勤勉で西洋人はリラックス…というわけではなく、それぞれが自己ベストで仕事や家事、勉強をしているのだけれど、そもそも視点や目的、感覚が違うのでズレが生じてくるのだとわかるとその違いも面白さとして捉えることができるのではないかと思います。